こんにちは、まおです。
今日も生きる苦痛、紛らわせてますか。いい夢、見てますか✿
今日は、
哲学ってなんか気になるけど難しそう…歴史の勉強じゃなくて、哲学の考え方だけ知りたい!
っていう人にうってつけの書籍を紹介したいと思います。
この夢(書籍)に救われる人:
・持論を語るのが好きな人
・自分の考え/世界の見方になかなか共感を得られなくて苦しい人
・「それはあなたの主観でしょ」という反論に黙らされた経験がある人
書籍あらまし
- なんでもかんでも哲学的に考えてしまう「哲学病」の著者が、「哲学する」とはどういうことかを、身近な例でわかりやすく説いた哲学実践の超入門書。
- 難しい哲学史の話はほとんど出てきません。
読者が日常生活の中で関心のある話題について自分で「哲学してみる」ための手引書です。 - 『マツコの知らない世界』『GANTZ』『暗殺教室』『デスノート』など、TV番組や漫画、映画といった親しみやすいコンテンツを例にとって解説してくれます。
感想と救われポイント ~哲学する、わくわくする~
ソクラテスさん、すみません、知らんです。
僕はいろいろなこと(つまらないことも)をもわもわと考え込んでしまう性分です。
「生きるとは何か?」「日本人とは何か?」「人を愛するとはどういうことか?」「ヒーローとは何か?」etc…
でも別に、哲学的な思想に明るいわけじゃありません、むしろ素人。
だから自分が(自分なりに)”おおごと”として考えていることも、
学問的背景があったり、誰かの説に裏付けられていたりするわけではなくて、まあはっきり言って、単なる持論。
あ、へー…そんなこと考えてるんだ。よくそんなことまで考えるね。
で終わってしまう。というか極論
まあでも考え方はみなそれぞれだからね。
と、自分の考えたことの妥当性を議論するにも至らず、”楽し気な妄想”として処理される…。
”イチ感想”じゃなくて、賛成でも反対でもいいから、もっと人が乗っかれる「説」を打ち立てたい!
と思うことはあって、そういう意味で、哲学思想に興味もあったりはする。
けどあれってなんか、難しそうなんですよね。
デカルト? ああなんか数学の人…?
カント?ニーチェ?ああいたね…
ソクラテス?ふふっ…あ、いやごめん、世界史で習ったね。偉い人でしょ?
誰ですか?
わたしですね。教養の”きょ”の字もないですね。
一応、東京大学の前期課程で教養教育を受けてたはずなんですけどね。恥ずかしいですね。
そんな私が、書店で哲学書のコーナーを覗いても、まあはっきり言ってさっぱりついていける気がしない。
でも、哲学を自分でもやってみたい!
という中で見つけたのがこの本です。
わかりみ & 親しみ
この本の良さをシンプルにまとめてしまえば、
- かつての偉い人たちの思想じゃなくて、哲学のやりかたをレクチャーしてくれる
- エンタメコンテンツから取られた題材が親しみやすい
という2点になります。
哲学には、他の学問と違った特徴があります。専門的な訓練があればそれに越したことはないけど、なくても哲学することができるということです。この点で、哲学は、科学なんかよりも、むしろスポーツや音楽に似ています。プロのスポーツ選手やミュージシャンがいて、彼らのプレー、演奏を鑑賞することもできるけど、自分でやっても面白い。
本分より(Pⅱ)
(中略)
そこでこの本は、(中略)いわば、スポーツや楽器の教則本のようなものを目指しました。著者の私は、だから、いわばレッスンプロのようなものです。
まえがきにはこう書いてあって、
いやそうそう!そういうことよ。哲学を「知りたい」っていうか「やりたい」のよね!
と思いました。
実際内容を読み進めると、これが実に分かりやすい!
なんの予備知識もいらないですね、本当に、難しい専門用語はほぼ出てこない。
本全体の構成としても、
- パート0=哲学ってそもそもなに?
- パート1=日常で哲学するきっかけ
- パート2=考える基本
- パート3=考えの進め方
- パート4=守る(間違いを防ぐ)
- パート5=攻める(面白い考えに出会う)
って感じで、実に分かりやすい。
「イギリス経験論と大陸合理論」だとか「社会契約説」だとか「私という実存」だとか「ポスト構造主義」だとか、
小難しい単語の出てこなさそう感がすごいですよね。
パート2・3が基本編になっていて、
- 概念とは
- 概念の使い方(入れ替え・対比・修正etc…)
- 視点を定める
- 推論と論証という二つの流れ
- 概念から世界観をつくる
といった、自分の中に湧き上がったモヤモヤやひらめきを言葉にして、仮説として立てる流れやその検証方法を教えてくれます。
パート4・5が応用編(と言っても専門的な知識は不要)で、
- よくある間違い(論点先取、論理の飛躍、述語的同一化)
- 攻めて面白い考えにたどり着く(帰納、類推、マトリックス)
と、結論を導く際に陥りがちな誤った思考方法や、確実性の高い演繹だけでなく、帰納や類推といった思考の跳躍をうまく使う方法を知ることができます。
で、ポイントを端的に書くと、熟語が多く出てきて
ん? なんだかんだ論理学ぽい、抽象的で難しい内容になっているのでは?
と思った方がいるかもしれませんが、これがそんなことないんです!
というのも、まず文体がとても易しくて、口語で語りかける感じなんですよね。
だからサクサク読めるし、上に書いたようなことを実際に考えてみる際の題材が、
- 『マツコの知らない世界』に出演した県境マニアの人の話から、「県境」を「境界」として抽象化してみることで概念の使い方を知る
- 映画(漫画)『GANTZ』の設定から「人生はゲームか?」という問いを考えることで、概念によって哲学を進める方法を知る
- 『暗殺教室』の殺せんせーにできないことを考えることで、対概念について知る
- 「かわいいは正義だ」という格言から、哲学的思考の誤る例を知る
などなど、あげればキリがないですが、こんな感じで、いかにもフランクでとっつきやすい話題ばかりなんですよ。
で、もちろん実際に「こうやって哲学的にものを考えるってこうやってやればいいんだ~」って知れること自体も有意義なんですが、僕が一番この本が素敵だと思ったのは、
あー、考えるって、哲学ってもっともっと面白いかも…!?
と、考えること、そして
「哲学する」ことにワクワクできたことです。
これがねえ、何より他のいわゆる入門書にはなかなかないことなんじゃないかなって思うんですよねー…!
僕は結局、この本が別の入門書のタイプとして挙げている「偉い哲学者たちの哲学があれこれ紹介してある」ものも読んだりはしたんですが(記事末で参考までに載せますね!)、もちろん概説的に哲学者たちの考え方をちょびちょびっとずつ舐めていくのも、面白いと思う部分はあったんですが、
へー…なるほどねぇ…よくやりますわ、すごいですわー…
と、どちらかというと感心に近い印象でした。
それから、やっぱ概説は概説なので、そしてこの本でも紹介されていますが哲学の分野はそれはもう多岐にわたるので、1冊読み通しても、「哲学ってなんだ?どうやるんだ?」ということにはピンとこなかった、っていうのもあります。
この手の思想紹介系の入門書は、自分が気になる分野の思想をかじってみる場合の目録的に使うのが一番いいのかなあと。
それで言うと、今回の僕の動機たる、
わしも哲学やってみたいんじゃあ、して、どうやるんじゃ!?
には、この『哲学、する?』がベストアンサーでしたし、なんというか、
こんならオラにもできんべ??
と、アガりました⤴
考えるって楽しいぜ、楽しそうだぜ、カンガルー! 待ってろ世界、おーいぇい、ベイベー♪
って気持ちになりたい方は、手に取ってみる価値ありありだなあと、そう思います!ほんとおすすめです、是非!!
コンテンツ紹介 ~あさき夢見ばや~
いかがでしたでしょうか…??
個人的には、実は読み物としてはパート0の「哲学とは何か」が一番面白かったんですけどね!
かつては「万学の女王」だった哲学から様々な学問が「科学」の名の下に派生いき、今では狭義の(学問としての)哲学と、広い意味の哲学(人生論など、個人で持っている価値観)が混同されているんだよ、ってこととか。
だからよくある「哲学は人それぞれ」ってのは学問以外の哲学のことを言っているし、「哲学に答えはあるかないか」ってのは、実はそもそも問いとして間違っている、とか。
コラムもなかなか面白くて、哲学と科学と宗教の違い、とか。
世界の一部を究明する科学と違って、哲学と宗教は「世界観」であるという点では共通しているし、逆に究極信じる信じないの問題に行きつく宗教と違って、哲学と科学は「理屈」をベースに人と共有する、議論する、ってこととか。
とまあ、ともかく。
僕みたいな素人ポンチにとってはほんと格好の一冊というか、救いの蜘蛛の糸って感じなので、あの哲学書コーナーの知的で重厚で難解な雰囲気に膝を折られた方は、是非ここから入ってみてください!
そして読んだ結果として、「でも思想史も改めて知ってみたくなったな」って思えた人のために、
僕にも読み通せた分かりやすい思想紹介系の概説書を合わせて置いておきます✿
最後までお読みいただき本当にありがとうございました!
それでは、また。あさき夢の狭間にて ✿